映画「惡の華」で最後に出てきた制服の女の子は誰?仲村さんを通してこの作品で伝えたかった事を考察解説
映画「惡の華」が公開され、「考えさせられる」「キャストの演技が凄い」など話題になっていますね。
もともとは漫画が原作となっており、「別冊少年マガジン」で2009年から2014年まで連載されていた人気漫画です。
2013年にはアニメ化もしています。
それが今回、実写化したという訳ですが。
今回の映画では、この漫画を読んでいた「惡の華」ファン層からの絶賛の声が特に高いんです。
本記事はネタバレも含みますので、映画に行く予定の方はご注意ください。

映画「惡の華」ラストで制服を着た女の子は誰?

早速ですが、最後に出て来た制服の女の子の事が気になりませんでしたか?
1番最後の海のシーンで出てくるのですが、この映画のメッセージとも言える部分でしょう。
原作では「この物語は終わりから始まる」という文で締めくくられています。
実写映画として、中学生、高校生の心の葛藤を描いた作品ですが、最後だけ現実離れした描写になっていましたね。
この作品の肝となる「惡の華」そのものが空に浮かんでいたり・・・
空に浮かんだ「惡の華」は、仲村さんや春日くんが前へ進み出すと一度目を閉じ、制服の女の子に向かって再び目を開きました。
最後に出てきた女の子も、そういう意味では実際の女の子というより、空想に近い存在なのではないでしょうか。
作品中から読み取っていきましょう。

映画「惡の華」から読み解く中村さんの感情

中村さんがメガネを外す意味

よく見ていると、中村さんはメガネを外したり、掛けたりしていましたよね。
私もメガネをしていますが、普段外す事はありません。
顔を洗う時や寝る時くらい?
なので、少し気になりました。
実は仲村さんがメガネを外す時って、春日くんに自分の心を見せている時、つまり心を開いている時に意図的に外しているんです。
春日くんと口論になったり、心を閉ざす時にはメガネを掛けてしまいます。
仲村さんのメガネには心理的な距離の現れだって分かると、仲村さんの気持ちも汲み取りやすくなるかもしれませんね。

仲村さんが言うクソムシの意味

教室でテストを返される時に、仲村さんが先生に「うっせークソムシが!」と暴言を吐くシーンは映画のポスターにもなっており、あの目が印象的でもあります。
この「クソムシ」ってどういう意味なのでしょうか?
また、映画では「変態」という言葉も沢山出てきます。
この意味をしっかり押さえておくと、映画への理解も深まります。
本編では、春日くんの佐伯さんに対するちょっとエッチな部分を見て、仲村さんが「変態」と言います。
もちろんそのままの意味もあるのですが、この作品でいう「変態」とは、自分の本当の気持ちや内面の醜い部分を隠さず、さらけ出している人に向けた言葉なのです。
物語が進むにつれ、「クソムシ」や「変態」という言葉に深い意味がある事が分かります。
「クソムシ」は「変態」の対義語なのです。
つまり、クソムシとは”外面を取り繕っていい子ぶっている人たち”の事です。
仲村さんにとっては、教室や職員室で、内面を見せずにお互い表面だけで会話している光景が白々しく、とても退屈に思えたのでしょう。
確かに思春期あたりから、周りの目を気にしたり、自分をよく見せたり、取り繕う部分ってあると思います。
他の色々な作品でもテーマとして取り上げられる「ありのままの自分」ですが、「惡の華」ではこんな言葉を使って表現しているのですね。
クソムシの意味が分かると、もう一度映画を見てみたくなりませんか?

惡の華って何?みんなの中にある惡の華

では、もう一度冒頭の「女の子」に戻ります。
この作品ではボードレールの「惡の華」という本が出てきますが、春日くんが大事に持っていたその本の表紙には、黒くて不気味な絵が描かれていましたね。
夜中の学校に忍び込んで、床に描いた絵も惡の華でした。
映画のラストでも、この惡の華の目が開いて終わりになります。
まさに、女の子の心の奥底に眠っていた闇が動き出した、といったところでしょうか。
原作の漫画では、この黒い「惡の華」の存在が登場人物それぞれの気持ちと連動してイラストに描かれています。
春日くんは自分の正直な気持ちに後ろめたさがあり、惡の華を背中に隠しています。
仲村さんはというと、惡の華を空高く持ち上げて、希望を見出しています。
自分の内面を過剰に曝け出しているとも言えます。
一方佐伯さんは、惡の華を普通に持っており、ありのままの自分を受け入れている描写のように捉える事が出来ます。
実写版では実体のない「惡の華」を表現するのは難しいでしょうが、ストーリーを読み解くと、私たち誰もが持っている感情という事になります。
家族だけに見せる自分。
恋人だけに言うワガママ。
飲みの席での上司の悪口。
このように、少し考えるだけでもドロドロした部分に心当たりはあるのではないでしょうか。
心が成長していくと、自分自身の惡の華に対して共存が出来るようになります。
自分の嫌な部分を割り切ったり、自分はこういう人間だと肯定できたり、悪口を言って嫌悪感もなくスッキリする人もいるでしょう。
この性欲や嫌悪感情、破壊衝動などをどうしようもなく感じてしまい、吐き出したいけど吐き出せないと葛藤するのがまさに思春期の思考だと考えます。
最後に出てきた制服の女の子は、まさにそんな葛藤をしながら悩んでいる「惡の華」が始まったのでしょう。
それは、あなたの事かもしれません。
惡の華は誰の心の中にも住み着いていて、いつでも目を覚ますことができる。
変態にもクソムシにもなれるのです。

仲村さんが見ている世界はクソムシの世界だった

最後に仲村さんが見ていた世界をお伝えします。
原作を読んだことがある方は、もう知っていると思いますが、仲村さんの目には、本当にクソムシが体中にたかっているように見えていました。
みんなの体にクソムシがたかり、教室がクソムシだらけの中、一人だけクソムシが付いていない人を見つけたのです。
それが春日くんでした。
仲村さんにとっては希望の光だったのでしょう。
そんな世界で生きていたなんてゾッとしますね。
病気だったんじゃないか、という人もいます。
でも、今回の実写版では、激しい中学時代が幕を閉じ、海で春日くんと再開したときの中村さんの表情が明らかに違っていました。
あのときの目ではなく、とても優しい目になっていました。
もしかしたら、心の成長とともにクソムシが見えなくなり、自分とはなにか、自分の中の闇と折り合いがついたのかもしれません。
それにしても目だけであんなに表現できるなんて、玉城ティナさんはすごい。

まとめ

さて、制服の女の子が、悩み苦しんでいるあなたの心かも、とお伝えしたところで、中村さんの気持ちや、春日くんの思い、佐伯さんの心が少しだけ垣間見れたんじゃないでしょうか。
特に仲村さんと佐伯さんは屈折していましたね。
今回の作品は時の流れが圧縮されてストーリー展開されているので、「いつの間に春日くんは中村さんに惹かれたの?」とか「佐伯さんはそんなにいきなり春日くんのこと好きになるの?」など、本当ならば時間をかけて築いていく人間関係に疑問を持った方もいるでしょう。
高校時代で知り合った常磐さんに関しては、かなりあっさりでした。
「え、もう家に入れちゃうの?展開早っ」というのが本音です。
彼氏の存在が出てこなかったのも残念です。
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ご自身の思春期時代の葛藤や衝動と重なるところがあることでしょう。
思春期真っ只中の方は、眠っていた変態が目を覚ますかもしれません。
惡の華のロケ地が気になる方はこちらの記事で紹介しています。
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